北極の六角形に続く大発見!ハッブル望遠鏡が捉えた土星南極の巨大「十角形」大気波

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北極の六角形に続く大発見!ハッブル望遠鏡が捉えた土星南極の巨大「十角形」大気波

太陽系屈指の美しさを誇るリングの惑星「土星」において、惑星気象学の常識を根底から覆す驚くべき新構造が発見されました。
NASAおよび欧州宇宙機関(ESA)のハッブル宇宙望遠鏡が取得した最新の高解像度観測データから、土星の南極を取り囲むように広がる巨大な「十角形(デカゴン)」の大気波動パターンが確認され、国際天文学チームによって科学誌『Science Advances』に発表されました。
土星の極域といえば、1980年代にボイジャー探査機によって発見され、カッシーニ探査機によって詳細に調査された北極の「巨大な六角形(ヘキサゴン)」が世界的に有名ですが、南半球において幾何学的な多角形ジェット気流が観測されたのは人類史上初めてのことです。

ハッブルの広視野カメラ3(WFC3)を用いた外惑星大気遺産(OPAL)プログラムの観測により、この十角形は南緯約63度の領域に位置し、南極直上に居座る巨大な極渦を取り囲むように規則的な10個の頂点と直線状の辺を形成していることが明らかになりました。
そのスケールは桁違いに壮大であり、各辺の長さは数千キロメートル、全体では地球が何個もすっぽりと収まるほどの超巨大な大気構造です。

青色から近赤外線に至る複数波長のフィルターで解析した結果、この十角形は雲の濃淡だけでなく、成層圏から対流圏上層にまで及ぶ大気の鉛直構造全体が波打つ「ロスビー波(惑星波動)」であることが実証されました。
幾何学的な対称性を持つ大気循環が、北極のみならず南極でも自律的に組織化されるという事実は、巨大ガス惑星の大気力学における歴史的な大発見です。

カッシーニ探査機も見たことのない新現象?季節変動と流体力学が織りなす幾何学模様の謎

今回の十角形発見が天文学者たちに強い衝撃を与えた最大の理由は、2004年から2017年まで土星を周回探査した名機「カッシーニ」の長期観測データには、この十角形が一切存在していなかった点にあります。
カッシーニが観測した当時の土星の南極には、台風の目のような美しい円形の巨大渦(極低気圧)が存在していただけであり、直線的な多角形構造は見られませんでした。
つまり、この十角形は過去数十年にわたって静止していた構造ではなく、ごく最近になって新たに発生・進化した動的な大気現象であることが強く示唆されています。

研究チームは、1990年以降にハッブルが撮影した30年分以上のアーカイブ画像を詳細に再検証し、土星の公転周期(約29.5年)に伴う激しい季節変化に着目しました。
土星が太陽の周りを回るにつれて、南半球が受ける太陽光の照射量や大気上層の熱バランスがゆっくりと変化し、ジェット気流の東西風速や周辺のシアー(速度差)が特定の臨界点を超えたことで、流体力学的な不安定性(順圧不安定)が引き起こされたと考えられます。

高速で流れる東向きのジェット気流と、南北に隣接する逆向きのプラズマ流が相互作用することにより、円形の渦が波打ち、十角形という高次の対称性を持つ定常波へと自発的に姿を変えたのです。
北極の六角形が数十年以上も安定して維持されているのに対し、南極では季節や大気の変動に応じて新たな幾何学模様が誕生するというダイナミックな事実は、惑星の大気がいかに複雑で生命力に満ちているかを鮮やかに物語っています。

参照元 : https://esahubble.org/news/heic2612/

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