小惑星カリクロの環に想定外の構造変化!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による恒星食観測

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小惑星カリクロの環に想定外の構造変化!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による恒星食観測

土星と天王星の間の軌道を周回するケンタウルス族小天体「カリクロ(10199 Chariklo)」の環系において、過去数年間のうちに想定外の物理的変化が生じていることが明らかになりました。
スペイン宇宙物理学研究所(IAA-CSIC)やパリ天文台を中心とする国際研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ(NIRCam)を用いた高精度な恒星食観測の結果を分析し、科学誌『Science Advances』に論文を発表しました。

直径約250キロメートルの小天体であるカリクロは、2013年の地上観測により、太陽系内の小惑星・小天体として初めて環(リング)を持つことが確認された天体です。
カリクロの周囲には、内側の「オイアポク(半径約391キロメートル、幅約7キロメートル)」と、外側の「チュイ(半径約405キロメートル、幅約3キロメートル)」と呼ばれる2本の細く高密度な氷の環が存在することが知られていました。

JWSTは、カリクロが背景の恒星の前を横切る「恒星食」の現象を近赤外線波長で観測しました。
カリクロと望遠鏡との相対速度が秒速約2.5キロメートルと比較的低速であったため、従来の地上望遠鏡による観測を大きく上回る高い空間分解能と測光精度で光度曲線の取得に成功しました。
取得された光度データを過去の地上観測データと比較した結果、環の光学的厚み(不透明度)や幅のプロファイルがわずか数年の間で有意に変化していることが確認されました。
これまで比較的一定と考えられていた小天体の環が、短期間でダイナミックに変容している事実が観測的に実証されました。

数年単位で進化する氷のリングと未知の羊飼い衛星が存在する可能性

今回検出された環の構造変化は、環を構成する水氷や有機物微粒子の軌道運動と集団力学に関して新たな物理的知見を提示しています。
JWSTによる詳細な光度曲線の解析では、環の内縁および外縁において急峻な密度勾配と非対称性が捉えられたほか、環の内部物質の分布が場所によって均一でないことが示されました。

通常、小天体のような重力の小さい環境では、構成粒子同士の衝突によって環は急速に拡散し、数百万年程度で消滅するか幅広く希薄化すると考えられています。
しかし、カリクロの環が幅数キロメートルという非常にシャープな境界を保ちつつ、光学的厚みの局所的な変動を示している現象は、環の物質を一定の軌道内に留める重力的な機構が存在することを示唆しています。

研究チームは、環の隙間や近傍に直径数百メートルから数キロメートル程度の未発見の「羊飼い衛星(シェパード衛星)」が存在し、その軌道共鳴によって環の形状が能動的に維持されている可能性を指摘しています。
あるいは、環を構成する氷の塊同士の局所的な衝突や破壊によって、短周期で環の密度構造が再配分されているモデルも検討されています。

土星のような巨大惑星だけでなく、小さな氷天体の周囲においても環が動的に進化しているという発見は、太陽系外縁天体の物理的性質や、微惑星を取り巻く原始惑星系円盤の進化プロセスを解明する上で貴重な観測的手がかりとなります。

参照URL:
https://www.science.org/journal/sciadv
https://www.eurekalert.org/news-releases/1142761
https://observatoiredeparis.psl.eu/the-pocket-rings-of-the-small.html
https://webbtelescope.org/contents/news-releases/2023/news-2023-103

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