
恒星と惑星の境界にある「褐色矮星」とは?
褐色矮星(かっしょくわいせい)は、恒星と同じようにガスの雲が収縮して生まれるものの、中心部で水素の核融合反応を維持できるほどの質量を持たないことから「失敗した星」と呼ばれることもあり、恒星と太陽系外惑星の中間のような性質を持つ非常に興味深い天体です。
木星などの巨大ガス惑星に似た成分を持ちながら特定の恒星の周りを公転することなく単独で宇宙空間を漂い、自身の内部から発せられるわずかな熱のみで暗く輝いているため、これまで宇宙望遠鏡で詳細に観測された数は数十個にとどまりその実態は長らく謎に包まれていました。
赤外線で宇宙を観測する「SPHEREx」の役割

この孤独な天体の観測に大きな期待が寄せられているNASAの赤外線宇宙望遠鏡「SPHEREx(スフィアックス)」は、人間の目に見える最も深い赤色から目に見えない赤外線まで、102種類もの波長を用いて天体の明るさを高精度に測定することができます。
大気中の水分が赤外線を吸収してしまう地球の地上望遠鏡では捉えるのが困難な褐色矮星からの微弱な光でも、宇宙空間からであれば正確に拾い上げることが可能であり、初期の観測データからはすでに水や二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなどを含む化学的に豊かな大気を持つことが明らかになっています。
褐色矮星の全天マップがもたらす新たな発見

毎日約3,600枚の画像を撮影して全天をマッピングし、ビッグバン直後の宇宙の歴史を解明するという本来の目的のための広範なスキャンを通じて、何千もの新たな褐色矮星を発見するという素晴らしい副産物を次々と生み出しています。
SPHERExがもたらす膨大なデータは、同じ温度の褐色矮星であってもスペクトルが異なるといった、従来の理論モデルでは説明しきれない複雑な気象現象や進化の過程を浮き彫りにしており、今後さらに数千個のデータが解析されることでこれら「暗い放浪者」たちの真の姿が完全に解き明かされることが期待されています。
参照元URL:https://www.jpl.nasa.gov/news/nasas-spherex-telescope-sees-menagerie-of-brown-dwarfs/