
ついに本日打ち上げ!補給船「プログレスMS-35」がISS第75次長期滞在クルーへ物資輸送
国際宇宙ステーション(ISS)で生活する宇宙飛行士たちの生命線となる重要な補給フライトが、本日いよいよ発進します。
ロシアのロスコスモス(ロシア国営宇宙公社)は、無人貨物輸送船「プログレスMS-35(NASA呼称:プログレス96 / 96P)」を搭載したソユーズ2.1aロケットの打ち上げを、本日2026年9月9日午後9時15分(現地バイコヌール時間、米東部夏時間午後12時15分、日本時間9月10日午前1時15分)に実施します。
打ち上げの舞台となるのは、人類初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンが飛び立った伝統の地、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地第31/6発射台です。
今回のプログレスMS-35には、約3トン(正確には約2600キログラム)にも及ぶ膨大な補給物資が満載されています。
船内には、第75次長期滞在クルーのための新鮮な生鮮食品、長期保存食、衣類、医薬品、個人用アメニティをはじめ、先端微小重力実験機器やステーションの定期メンテナンス用ハードウェアが隙間なく積み込まれています。
現在ISSには、米国のジェシカ・メア飛行士やジャック・ハサウェイ飛行士、欧州宇宙機関(ESA)のソフィー・アデノ飛行士、そしてロシアのアンドレイ・フェジャエフ飛行士らが滞在しており、今回の補給物資は彼らが軌道上で過酷な科学探査ミッションを継続するための極めて重要な支えとなります。
ロケットは打ち上げから約9分後にプログレス船を低軌道へと投入し、太陽電池パドルと航法アンテナを即座に展開してISSを追尾する約2日間のランデブー飛行へと入ります。
地上の緊迫した支援体制のもと、静寂の宇宙空間へ向けた新たな輸送任務がスタートします。
推進薬補給と軌道修正を担うソユーズ宇宙船の自動ドッキング技術と生命線
プログレス補給船の役割は、食料や実験機器などのドライカーゴを届けることだけに留まりません。
むしろ、ISSという巨大な人工天体の健全性を物理的に維持する上で、液体や気体の補給、そして推進力そのものの提供という極めて戦略的な役割を担っています。
今回のフライトでは、ステーション推進系へ直接移送されるロケット燃料(非対称ジメチルヒドラジン)と酸化剤(四酸化二窒素)が約950キログラム、生命維持システム「ロドニク」に補充される飲料水が約420キログラム、さらにステーション内の気圧と呼吸環境を維持するための圧縮酸素・窒素ガス約40キログラムが搭載されています。
ISSは地球低軌道のわずかな希薄大気による抵抗を常に受けており、放っておけば徐々に高度が低下してしまいます。
プログレス補給船はISS後部のズヴェズダ・サービスモジュールにドッキングした後、自らのメインエンジンを噴射してステーション全体の高度を押し上げる「リブースト(軌道引き上げ)」や、危険なスペースデブリ(宇宙ゴミ)を緊急回避するマニューバを定期的に実行します。
ドッキング時には、実績のある自動ランデブーレーダーシステム「クルスNA(Kurs-NA)」を使用し、ミリメートル単位の精密さで標的ポートへアプローチします。
万が一のシステム不具合が発生した際にも、船内の宇宙飛行士が遠隔操作で手動ドッキングを行うバックアップ機能「TORU」が万全に待機しています。
数多くの安全機構と長年の技術的蓄積に支えられたプログレスの堅牢な往還能力は、民間宇宙ステーションへの移行期を控えた現在でも、人類の軌道上活動を支える不可欠の大動脈として機能し続けています。