NASAのPUNCH探査機が捉えたSWAN彗星

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NASAのPUNCH探査機が捉えたSWAN彗星

SOHOが見つけ、PUNCHが追い続けた「2025 R2彗星」の記録

2025年8月から10月にかけて、NASAのPUNCH(Polarimeter to Unify the Corona and Heliosphere:コロナと太陽圏を統合する偏光計)ミッションは、2025 R2(SWAN)彗星を継続的に観測しました。この彗星は、NASAとESA(欧州宇宙機関)が共同運用する**SOHO(太陽・太陽圏観測衛星)**の観測データから発見された、数多くの彗星の一つです。

SOHOは1995年に打ち上げられ、30年にわたって太陽を観測し続けてきました。その間、SOHOのカメラ画像からは5,000個以上の彗星が確認されており、その多くは世界中の市民科学者(天文愛好家)の手によって発見されています。

映像 NASA


数分おきに彗星を観測するという前例の少ない試み

PUNCHミッションの大きな特徴は、非常に高い時間分解能で観測を行える点です。今回のSWAN彗星の観測では、約4分ごとに新しい画像が取得されました。

ミッション主任研究者である、コロラド州ボルダーのサウスウエスト研究所(SwRI)所属のクレイグ・デフォレスト氏は、次のように述べています。

「これまで多くの彗星は、1日に1回程度の頻度で長期間追跡されてきました。今回の新しい点は、数分おきという間隔で継続観測できたことです。」

このような高頻度観測は、彗星の振る舞いを細かく追跡できる点で画期的であり、これまでで最も密な観測記録の一つになる可能性があります。


SWAN彗星の発見と、PUNCHによる過去データの確認

2025 R2(SWAN)彗星が最初に発見されたのは、2025年9月11日のことでした。発見者はウクライナの天文愛好家、ウラジミール・ベズグリー氏です。

彼は、SOHOに搭載されている**SWAN(太陽風異方性観測装置)**が撮影した画像の中に、この彗星を見つけました。

彗星発見後、NASAの科学者たちは「PUNCHもすでにこの彗星を捉えていたのではないか」と考え、過去の観測データを詳しく調査しました。その結果、8月7日に撮影されたPUNCHの画像の中に、すでにSWAN彗星が写り込んでいたことが判明しました。

その後、彗星は10月初旬までPUNCHの視野内にあり、PUNCHは10月5日まで約4分おきの観測を続けました。


太陽風によって変化する彗星の尾

この観測期間中、PUNCH探査機は、彗星の尾が伸びたり縮んだり、ちらついたりする様子を詳細に捉えました。これらの変化は、太陽から常に吹き出している**太陽風(荷電粒子の流れ)**による影響です。

PUNCHミッションの本来の目的は、

  • 太陽風がどのように太陽から放出されるのか
  • その太陽風が惑星や宇宙空間、彗星などにどのような影響を及ぼすのか

を理解することにあります。彗星は太陽風の影響を強く受けるため、太陽活動を調べる上で格好の観測対象となります。


複数の視点と観測装置で宇宙環境を理解する

NASAゴダード宇宙飛行センター(メリーランド州グリーンベルト)の太陽系探査部門で、太陽物理学者かつ部門長代理を務めるジーナ・ディブラッチョ氏は、今回の成果について次のように説明しています。

「太陽の影響を複数の視点から、さまざまなタイプの観測機器で調べることで、宇宙環境の全体像を理解できます。
私たちは同じ手法を使って、宇宙天気が宇宙飛行士や宇宙船、そして地球上の技術にどのような影響を与えるのかを追跡し、分析しています。」

彗星観測は、単なる天体研究にとどまらず、宇宙天気予報や地球の安全に関わる研究にもつながっているのです。


PUNCHミッションを支える組織

PUNCHミッションは、テキサス州サンアントニオに本部を置く**サウスウエスト研究所(SwRI)**が主導しています。
4機の小型宇宙船は、コロラド州ボルダーにある施設から運用されています。

また、ミッション全体の管理は、

  • ワシントンD.C.のNASA本部・科学ミッション局
  • NASAゴダード宇宙飛行センターの宇宙科学ミッション運用部門

によって行われています。


おわりに

SOHOによって見つけられたSWAN彗星を、PUNCHが高頻度で追跡した今回の観測は、彗星と太陽風の相互作用を理解するうえで非常に貴重なデータをもたらしました。

30年にわたるSOHOの蓄積と、最新ミッションであるPUNCHの観測能力が結びつくことで、私たちはこれまで以上に詳しく、ダイナミックな太陽と宇宙環境の姿を知ることができるようになっています。

今後、こうした観測成果が、宇宙科学だけでなく、私たちの暮らす地球環境や宇宙利用の安全性向上にも役立っていくことが期待されます。

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