NASA、月面南極へローバー輸送を発注
― アルテミス計画とVIPERが切り開く「月の水資源」探査 ―
NASAはアルテミス計画の一環として、ワシントン州ケントに本拠を置くブルーオリジン社に、月面南極地域へのローバー輸送を含むCLPS(商業月面ペイロードサービス)タスクオーダーを発注しました。
この契約により、NASAの月面探査ローバー「VIPER(揮発性物質調査極地探査ローバー)」が、月の南極で氷などの揮発性物質を探査し、将来の有人探査や火星探査を支える重要な科学データを収集することになります。
VIPERとは何か?

VIPERは、月面に存在すると考えられている「水氷」などの揮発性資源を直接調査するためのローバーです。
月の南極には、太陽光がほとんど当たらない永久影領域が存在し、そこに氷が保存されている可能性が高いと考えられています。
VIPERはこうした極限環境を移動しながら、
- 水氷の存在場所
- 分布状況
- 深さや濃度
などを調査し、将来の宇宙飛行士の着陸地点選定や資源利用計画に貢献します。
ブルーオリジンの月着陸機「ブルームーン」
今回の契約の潜在的価値は総額1億9,000万ドル。ブルーオリジンにとっては2回目のCLPS月面輸送契約となります。
- 初回輸送:ブルームーンMK1(無人)でカメラとレーザー反射アレイを輸送(2025年後半予定)
- 今回の輸送:2号機ブルームーンMK1(開発中)でVIPERを輸送(2027年後半予定)
となっています。
民間と連携するNASAの新しい探査モデル
NASAは、従来の「政府主導の開発」から、「民間企業の技術を活用する」モデルへと移行を進めています。
ニッキー・フォックス副局長は次のように述べています。
「民間が開発した着陸能力により、費用対効果の高い方法で探査を実現し、長期的な探査を堅固なものにできます。」
CS-7タスクオーダーでは、
- 着陸手法の実証
- ペイロード統合と展開
- 技術的リスクの段階的低減
といった形で、NASA側のコストとリスクを抑える設計になっています。
なぜ「月の水」が重要なのか?
月の水は単なる科学対象ではありません。
- 飲料水
- 酸素(電気分解)
- ロケット燃料(水素)
といった形で、将来の月面基地や火星探査の基盤資源になり得ます。
ジョエル・カーンズ氏は次のように述べています。
「月の揮発性物質の探査は、科学と有人探査の両方にとって極めて重要です。」
各機関の役割分担
| 担当 | 組織 |
|---|---|
| ローバー開発 | NASAエイムズ研究センター |
| 技術支援 | NASAジョンソン宇宙センター |
| 着陸機・輸送 | ブルーオリジン |
| ローバー運用・科学 | NASA |
この分業体制により、効率的な探査が可能になっています。
まとめ:月は「次の地球」への足がかり
VIPERの月面探査は、単なるロボット探査ではなく、
- 月に長期滞在できるか?
- 資源を現地で調達できるか?
- 人類は太陽系に定住できるのか?
という根本的な問いへの第一歩です。
月の南極は、人類の未来を左右する「最も重要な場所のひとつ」かもしれません。
VIPERがそこで何を見つけるのか、その結果が宇宙探査の次の章を書き換える可能性を秘めています ??
