【はやぶさ 第1章】JAXA小惑星探査機 はやぶさミッションの衝撃

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【はやぶさ 第1章】JAXA小惑星探査機 はやぶさミッションの衝撃

2003年5月、日本の宇宙科学研究所から一機の小さな探査機が宇宙へと旅立ちました。
その名は「はやぶさ」です。
この探査機に課せられた使命は、地球の重力圏外にある小天体の固体表面に着陸し、サンプルを採取して地球に持ち帰るという世界初の極めて野心的なものでした。
目的地の小惑星「イトカワ」は、アポロ群に属する地球近傍小惑星であり、太陽系の形成と進化の謎を解き明かすためのタイムカプセルとも言える存在です。
はやぶさは単なる科学観測だけでなく、深宇宙往復探査に必要な数々の新技術を実証するための工学実験機としての側面も強く持っていました。
自律的な航法システムや光学情報を用いた接近飛行制御など、高度な技術の塊であったのです。

イオンエンジンと地球スイングバイが拓く深宇宙への道

はやぶさの推進系の中核を担ったのは、高効率なマイクロ波放電式イオンエンジンでした。
従来の化学推進ロケットと比較して推力は微小ですが、キセノンガスをプラズマ化し静電加速して噴射することで、極めて高い比推力を誇り、長期間の連続稼働によって莫大な速度変化を生み出します。
さらに、はやぶさは世界で初めてイオンエンジンを併用した地球スイングバイを成功させました。
これは、イオンエンジンによる長期間の加速と、地球の重力を利用したスイングバイを組み合わせることで、探査機の速度と軌道を大幅に変更する高度な軌道制御技術です。
この成功により、はやぶさはイトカワへ向かうための適切な軌道に乗り、深宇宙探査におけるイオンエンジンの実用性と有効性を世界に証明しました。

イトカワ到達と相次ぐトラブルの試練

Image: Wikipedia

2005年9月、約2年の歳月と太陽フレアによる太陽電池パネルの劣化という困難を乗り越え、はやぶさはついに小惑星イトカワへと到達しました。
ランデブー地点から送られてきた画像には、表面が大小の岩塊に覆われたラッコのような形状の小惑星の姿が克明に写し出されていました。
しかし、未知の天体への接近は試練の連続でした。
探査機の姿勢を制御するための3基のリアクションホイールのうち2基が相次いで故障し、姿勢を維持することが極めて困難な状況に陥ったのです。
さらに、観測機器の不調や、自律的な地形航法の難航など、着陸に向けたハードルは想像を絶するほど高いものとなっていました。
それでも、地上管制チームは化学推進スラスタと残された1基のホイールを駆使し、イトカワへの接近と観測を強行したのです。

前人未到のタッチダウンと絶望の通信途絶

Image: Wikipedia

数々の困難を乗り越え、2005年11月、はやぶさはイトカワへのタッチダウンを敢行しました。
未知の重力場と岩だらけの地形の中、探査機は自律的に危険を回避しながら降下を続け、世界初となる月以外の天体からの離着陸を成し遂げました。
弾丸を発射して舞い上がったサンプルを回収する機構は、後の解析で正常に作動しなかった可能性が高いことが判明しましたが、着地の衝撃で舞い上がった微粒子がカプセルに入った可能性に一縷の望みが託されました。
しかし、直後に燃料の漏洩が発生し、探査機の姿勢は大きく乱れ、ついには地球との通信が完全に途絶してしまいます。
広大な宇宙空間で迷子となったはやぶさ。
ミッションはここで終わったかに見えましたが、管制チームは決して諦めず、微弱な信号を捉えるための懸命な努力を続けることになります。

第2章に続く

ORION FIELD
・宇宙科学系ライター ・スペーステックライター
宇宙情報を発信しているオリオンフィールドです。
このブログはNASAの公開データをベースに宇宙の情報を発信しています。

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