アルテミス協定、5周年へ。月・火星探査の国際ルール作りが加速
NASAは、世界各国の宇宙機関や政府関係者とともに、月・火星、そしてその先の惑星探査を「責任ある形」で進めるための国際枠組みである**アルテミス協定(Artemis Accords)**の実施促進に向けた会合を開催しました。
この会合は、シドニーで開催された第76回国際宇宙会議(IAC 2025)の期間中に行われ、NASA、オーストラリア宇宙庁、UAE宇宙庁が共同議長を務めました。数十か国が参加し、今後の宇宙探査のルールと協力体制について議論が交わされました。
アルテミス協定とは?
アルテミス協定は、月や火星での活動が本格化することを見据え、
- 宇宙活動の透明性
- 他国の活動への不干渉
- デブリ(宇宙ごみ)の削減
- 科学データの公開
- 平和的・持続可能な探査の実現
といった原則を定めた国際的な枠組みです。
アメリカは2020年10月13日、NASAと国務省主導のもと、7か国とともに協定を発足させました。現在では56か国が署名しており、世界の約3割の国が参加する枠組みへと拡大しています。
5周年を迎える節目の年
開会の挨拶で、NASAのショーン・ダフィー長官代行は次のように述べました。
「アルテミス協定は、宇宙におけるルールを定め、探査を平和的に維持するための国際連合です。5年が経ち、この連合はかつてないほど強固になっています。単に月に到達するだけでなく、そこに持続的に滞在するために極めて重要な枠組みです。」
アルテミス協定は来月で発足5周年を迎え、実践段階へと移行しつつあります。
各国の役割と取り組み
オーストラリアは創設署名国の一つとして、インド太平洋地域での新規参加国の支援に力を入れています。
オーストラリア宇宙庁のエンリコ・パレルモ長官は、
「この会合は、月・火星・その先の探査を平和的、安全、持続可能に進めるという共通の意思を再確認する重要な機会です」
と述べました。
また、**UAE(アラブ首長国連邦)**は2025年5月に、不干渉や宇宙物体の登録・報告などをテーマとした専門ワークショップを主催しました。
UAE宇宙庁長官のアフマド・ベルホウル・アル・ファラシ氏は、
「透明性、持続可能性、革新性を強化し、国際的な枠組みを構築することが私たちの目標です」
と語り、国際協力への強い姿勢を示しています。
会合で議論された主なテーマ
今回の会合では、次のような具体的課題について議論が行われました。
- 打ち上げ予定・活動計画・着陸地点の透明性
- 他国活動への不干渉に関するガイドライン
- 宇宙デブリの削減と処理
- システムの相互運用性(国際協力を円滑にする技術標準)
- 科学データの共有と公開
これらは、今後人類が月や火星で活動する上で欠かせない基盤となります。
宇宙探査は「競争」から「協調」の時代へ
NASAは、今後数か月から数年の間に、さらに多くの国がアルテミス協定に参加すると見込んでいます。
宇宙探査は単なる国家間競争ではなく、「安全・平和・持続可能性」を重視した協調の時代へと確実に移行しつつあります。
月、火星、そしてその先へ――。
人類の新たなフロンティアは、国際協力の上に築かれようとしています。?
