中国初となる民間軌道ロケット「朱雀3号」の地上垂直着陸成功

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中国初となる民間軌道ロケット「朱雀3号」の地上垂直着陸成功

世界の宇宙開発競争において、再使用型ロケットの実用化に向けた極めて象徴的なマイルストーンが達成されました。
2026年8月19日午前7時35分(現地時間)、中国の民間宇宙開発企業「ランドスペース(藍箭航天)」が開発した大型の再使用型ロケット「朱雀3号(ZhuQue-3)遥2(Y2)」が、中国北西部の東風商業宇宙イノベーション実証ゾーンから打ち上げられました。
ロケットの第2段は搭載していた衛星「鴻鵠3号(Honghu-03)」を所定の軌道へと正確に投入し、打ち上げミッション全体を完全な成功へと導きました。

さらに世界中から大きな注目を集めたのが、打ち上げから約6分後に実施された第1段ブースターの帰還シミュレーションです。
上空で第2段と分離した第1段ブースターは、大気圏への再突入を経て正確な誘導制御を行い、発射場から約390キロメートル離れた甘粛省民勤県の専用着陸エリアへと降下しました。
ロケットはエンジンを逆噴射させて減速しながら4本の着陸脚を展開し、耐火コンクリートが敷かれた着陸パッド上へ見事な垂直着陸(タッチダウン)を成し遂げました。

これまで軌道投入能力を持つ大型ロケットの第1段を垂直着陸させて回収する技術は、アメリカのスペースX社(ファルコン9)などが先行して独占してきた領域でした。
今回の朱雀3号による成功は、中国の民間企業として初めて軌道クラスロケットの地上垂直着陸回収を実証した歴史的快挙となります。
中国の宇宙産業は、従来の使い捨て型ロケットから再使用型ロケットへの本格的な世代交代を着実に進めています。

ステンレス製機体と液体メタン推進が切り拓く低コスト宇宙輸送

朱雀3号は、全長約76.6メートル、直径4.5メートルを誇り、スペースXの主力ロケットであるファルコン9(全長70メートル)を上回る巨体を備えています。
機体構造には、過酷な極低温と大気圏再突入時の超高熱に耐えうるステンレス鋼(オーステナイト系ステンレス)が全面的に採用されています。
ステンレス鋼は従来のアルミニウム・リチウム合金や炭素繊維複合材に比べて材料コストが圧倒的に安価であり、過酷な宇宙飛行後も修復が容易であるため、高頻度な再使用運用に極めて適した特性を持っています。

また、推進システムには液体酸素と液体メタンを組み合わせた「メサロックス(Methalox)」エンジンが採用されています。
第1段には高推力を誇る「天鵲(Tianque)」エンジンが9基クラスター配置されており、精密な推力調整と空中での再着火を自在に行うことが可能です。
メタン燃料は燃焼時に煤(スス)が発生しにくいため、エンジンの内部洗浄や整備にかかる時間とコストを劇的に削減できるという大きな利点があります。

ランドスペース社によると、朱雀3号は使い捨てモードで最大21.3トン、再使用モードでも約18トンのペイロードを地球低軌道(LEO)へ投入可能な能力を持っています。
今回の着陸成功により、朱雀3号は単なる技術実証段階を終え、実用的な再使用と商業運用の検証フェーズへと移行しました。
低コストで高頻度な衛星コンステレーション構築を目指す民間宇宙市場において、朱雀3号の存在感は今後さらに高まることになります。

ORION FIELD
・宇宙科学系ライター ・スペーステックライター
宇宙情報を発信しているオリオンフィールドです。
このブログはNASAの公開データをベースに宇宙の情報を発信しています。
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